しなやかな手首と強靭な指を育てよう


新しい年の最初の月ももう終わり、

いよいよ発表会が目の前に近づいてきました。

去年の夏にレッスンを始めて、

手首ふわんや左右3つ~5つの音と位置を覚えたばかりの

小さいみなさん、

新しいテクニックでワンステップアップしたみなさん…

全員がしっかり練習の成果が出せるようにと願っています!

今年は(今年から?)お母様方にもソロ演奏を楽しんでいただくプログラムを作りました。

みなさん本当にお上手!毎回ミニレッスンをさせていただくのがとても楽しみでした。

そのミニレッスンの中で、何人かのお母様がおっしゃったことは、

(理想の音を出すための)ちから加減が難しいですねえ…💦

ほとんどの人がそう思っておられるのですが…

ピアノで理想の音を作るために必要なのは力加減ではなく

「重み加減」なのです。

音楽の中では、フォルテは強く大きく、ピアノは弱く小さく、という「音量」感覚は、

実はほとんど役に立ちません。

大きな音だけれど、やわらかくふくよかな音。

小さい音だけれど、輪郭が印象に残る輝く音。

音楽はボリュームの大小ではなく、「どんな音色を作りたいか」が常に先にあります。

それを実現するのは、腕から流す重みの量のコントロールです。

今、みなさんの肩から指先までを、しなやかなゴムホースだとイメージしてください。

お庭の水まきに使うあのゴムホースです。

このホースの先端は5つに分かれています。

さあ、蛇口をひねって水を出してみましょう。

水を一気に最大限に出すと、

ホースはまるで生きた蛇のように躍り上がって勢いよく水をほとばしらせます!

水の量を加減したら、花びらを傷つけないような、とろりとした優しい流れにできます。

このゴムホースそのものには変化するエネルギーはありませんが、

水という無限に柔らかいエネルギー(重力)を流すことで、

激しい蛇にも鞭にも、甘い蜂蜜の滝にもなれます。

でも、もしこのゴムホースの内側に小石や砂利がびっしり詰まっていたらどうでしょう?

いくら蛇口を最大限にひねっても、

5つの出口から流れる水はチョロチョロとまるで頼りない量になってしまいます。

それだけではなく、

無理に水を流し続けたら、ホースそのものがパンクしてしまいます!(痛みや故障)

この内側の硬い小石や砂利が、「力み」です。

ほとんどの人は、最初は自分の腕、手首、指に力みがあるかどうかわかりません。

意識的に脱力して、自分の手指や腕の重みを自覚したことがほぼないからです。

何度もくり返してお話ししましたが、

この自覚の最初の一歩は腕(しだれ柳・虹づくり)、手首(手首ふわん)です。

これらはホースの内側を柔らかく保ち、小石や砂利を詰まらせないための最初のトレーニングです。

アコースティックピアノの練習で1の指から順番に弾かずにまず3の指から練習するのは、

指先から腕を通しての脱力のための、一番大きな動きを覚えやすいからです。

…でも、フォルテで速く弾く曲はたくさんあるし、あれは力を使ってるじゃない?

「フォルテを速いテンポで弾く」とは「大きな重みを速く落としている」ということです。

蛇口を一気にひねったら、ホースは急激に跳ね上がり、

ゆっくりゆるやかに蛇口をひねっていけば、ゆったりと動き出すのと同じですね。

では指はどうでしょうか?

「指で弾かない!」「指弾きしない!」…

大きいみなさんは、レッスンの時にしょっちゅう注意されていますね。

えー?💦ピアノって指で弾くものじゃないの???

ピアノを弾くときの指の役割はなんでしょうか?

ピアノを弾くときの指の役割は、

1・鍵盤上の方向を決めることです。

ホースのたとえに戻すと、右の花壇にお水をあげるときはホースを右に向け、

左の花壇にお水をあげるときは左に向けますね。

ピアノを弾く指は、音符に沿って鍵盤上の方向を定め、そこに重みを流して打鍵します。

もしこのホースに適度な弾力と厚みがなく、

ビニール袋のように薄っぺらでふにゃふにゃしていたらどうでしょうか?

いくら水の力を強めても、右左に向けても、

ぐんにゃりして、安定して狙ったところに水を向けられませんね。

ましてお花にそっと水をあげたい時など、持った手元で折れてしまって役に立ちません。

ホースがしっかりしていれば、

遠くの花壇にもお水をピューっと気持ちよく飛ばすことができます。

2・重みの最終調節をして音色を決めることです。

さて、お庭に水はたっぷりあげました。

今からこのホースでちょっと遊んでみましょう!

地面にこのホースを使って絵や字を書いてみましょう。

太い線や細い線…どうやって作りますか?

ちょっとホースの先を指で押してみたら、水の線をいろいろ変えられますね!

ピアノもこれと同じです。

水の量は少しでも(P)、指を引き締めて鍵盤をコツンと打つ感じ(ホースの先を細くする)

にすると、小さな宝石や星がキラリと光ったような艶やかな音色を出せます。

太い線を描きたい?

それならホースをぎゅっと握らないで、ありのままの太さ全部を使えるようにしましょう。

そしてホースの先も同じように余計な力を抜いて、つぶさないようにします。

やわらかなフォルテ、おおらかなフォルテは、すべての重みを指に送り届けるイメージで、

腕全体を指に向かって押し寄せて作ります。指先はゆるめて開けっ放しにしておくのです。

この大切な役割を果たすために、指そのものをしっかり鍛えるわけです。

水を遠くに飛ばしたり、手元にそっとやさしく流しかけたりできること。

先端を無段階に微調整できること。

これができるのは厚みと弾力のある、自立したホースです。

薄くて弱いビニール袋のホースでは絶対にできません。

先月号の「テクニックをつけよう」で話しましたが、

小さい人の消しゴムエクササイズ、ハノン、スケールはこの強靭な指づくりの必修科目です。

そしてレパートリーではテンポの速い曲と、スローテンポでリリカル(叙情的)な曲の両方を

バランスよく練習して、様々な表現方法を身につけていきましょう。

基本の脱力の上に、指の筋力を適度に使いながら色彩豊かな音楽を作っていけるように、

いろんなレパートリーを増やしながら練習していきましょう。

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