

たとえば花の…
モニーク・ガビュの「花の女神」という曲は 4分の3拍子と4分の2拍子が交互に出てくる 変拍子の小曲です。 こういう曲は習い始め頃に弾くと 1拍子になってしまいがち。 1,2,3、1、2、…本 人はそう数えて弾いていても 聞こえるのは拍子感のない、変な曲に?…。 5拍子はなんだか落ち着きの悪い 不安定な感覚です。 でも自然界には この不安定さが満ち溢れていると思いませんか? たとえば花の散るときの 花びらのこぼれかた。 あ…と思わず目をとめてしまう 予測できない不安定な、繊細な動き。 私たちの会話、 唇からこぼれ落ちる言葉も、 安定したリズム感なんてありません。 5や7といった拍子は、 自然界のすがたをそのまま表現した感覚でしょうか。 この曲はそんな 花びらがこぼれ落ちる瞬間を見つめているような かすかな緊張感、せつなさを表現して弾きたいですね。 不安定さの中にある いのちの息づかい。 存在するすべてのものが奏でている音楽に しずかに耳を傾けてみましょう。