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美しい音色は手首から


3月も終わりに近づきました。

6年生のみなさん、小学校卒業、おめでとうございます。

思い出いっぱいの小学校時代を終えて、新しい出発も間近ですね。

そして発表会でがんばったみなさんは、お疲れさまでした。

独奏、テーマ演奏、連弾、それに作曲と、たくさんの演奏でしたが

練習も一生懸命取り組んでくれました。

本番の演奏には、ひとりひとりいろんな気づきがあったことと思います。

今年の発表会は門下で初めての出演になった人がとても多く、

みなさんの初ステージがどうなるかと先生もドキドキでしたが、

全員立派に弾いてくれてとてもうれしく思いました。

それぞれの演奏ぶりから、来年どんな曲に挑戦してもらうかを楽しく考えています。

そしてこれからの1年は,より一層音楽的に弾けるように

大きい人も小さい人も美しい音色の作り方をしっかり学んでいきましょう。

さて、その美しい音色と聞いてみなさんが思い浮かべるのはどんなイメージでしょう?

「やさしい感じ」「ゆったりした静かな感じ」でしょうか?

いいえ、そうではありません。

美しい音色、それは雪がしんしん降り積もるようなピアニシモの時もかき消えず、

嵐のようなフォルテシモの時も決して怒鳴り声にならない、

素晴らしいオペラ歌手の歌声のような、しっかりした響きのある「発声」のことです。

鍵盤を打った瞬間の音(基音)ではなく

その後の響きに美しさがある、と考えてください。

頭ではなく、しっぽが艶やかで豊かであることが

ピアノの美しい音色の秘訣です。

そのためにはもちろん、打つ瞬間の音を注意深く弾かなくてはいけませんね。

ピアノはとても正直で、私たちの心の状態をそのまま映してしまう鏡です。

私たちが何も考えずに叩くと

ピアノは物がぶつかった時と同じ「衝撃音」でこたえます。

たまたまピアノだから、それが「ド!」だったり「シ!」だったりするわけですが、

同じタッチで机やガラスを叩けば「ペタン!」「ガチャン!」という音になるでしょう。

ところが習い始めの頃は、何も考えずに叩いているということにも気づけません。

ひとつは弾くべき音符、正しい鍵盤の位置、指づかいなど

ルールで頭がいっぱいだからです。

もうひとつは、ピアノというのは押せばいつも同じ音が出る…と思い込んでいるからです。

同じ音、それは音程としては同じ音ですが、

音色は鍵盤の触れ方で万華鏡のように変化します。

その「触れ方」を決めているのが、指ではなく、実は手首です。

なんだかむずかしそう?とんでもない!

みんなちゃんとできていますよ、手首で深呼吸を習ったでしょう?

これは手首の呼吸の基本の一歩で、ここから手首の使い方を音作りにつなげていきます。

くわしいやり方はひとりひとりレッスンの中で学んでいきますが、

この練習は音数の少ない、ゆっくりした曲で練習します。

手首の動きと響きに集中するためには、複雑な譜読みや速いテンポの曲ではできません。

その成果を自分のレベルの曲に応用していくようにしましょう。

最初はちょっぴり退屈だったり、弾きにくい…と思うかもしれないけど、

コツをつかんだら、試しに今まで弾いた曲の中から簡単なものを弾いてごらんなさい。

自分の音色や歌い方の変化にびっくりしますよ!

春はみんなが卒業、そして進級です。

ピアノもひとつ進級して、より美しい演奏を目指しましょう。

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