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手綱をしっかりと!

8分音符の習い始めで、一番気をつけなければいけないことは、

正確な分割です。

ほら、8分音符が転んでますよ!

と注意されることはありませんか?

8分音符が出てくると小節の中に音符がたくさん…

なんだか速く弾かなくては…

とそわそわしてしまうのかもしれません。

8分音符の練習に入ったら、

まずこんな風に考えてみましょう。

バスに乗ったとき、

座席に一人でゆったり座っていたところに、誰かが隣に座ってきたら

ひとりの時よりちょっとぴっちり詰まった感じがします。

8分音符はあんな感じです。

でも、一つの座席がみんな二人ずつでぴっちり埋まっても、

バスの走るスピードは変わりませんね。

バスの中がたとえぎゅうぎゅうの満員だって、

走る速さは変わらないでしょう?

乗っている人の人数がどんなでも、

決められたスピードを守ってバスは走ります。

音楽の全体の速さも同じ、

指定されたテンポ通りのまま、少しも変わりません。

だからどんなにたくさん8分音符が出てきても、

焦ったりあわてることなく、

充分落ち着いて弾きましょう。

では「ころぶ」とはどういう状態でしょうか。

バスが走り出したとたん、

お隣さんがあなたにぶつかって押してきたら?

ちょっと困りますね!

バスがスピードを出しても、

でこぼこ道で揺れても、急なカーブを曲がっても、 身体が傾かないように、お隣にぶつからないように、

きちんと同じスペースを保ちましょう。

これが正確な分割、ということなのです。

前につんのめったようにテンポがくずれてしまうのは、

2つの音符のスペースを乱しているということ。

速く弾かなくてはという無意識の気持ちが

引き起こしていることが多いのです。

全体のテンポを見失わないように、

ゆったりと演奏することを充分に心がけましょう。

さて、ここからが本題です。

どうすればこの前のめりを直せるでしょうか?

8分音符のリズムを声に出して読んでみましょう、

タン、タタ、タタタタ…という風に。

声に出して読んでみたら、

決してタタはつんのめらないはずです。

なのに指で弾くとつんのめってしまう。

タター、と前のめりになって、

後ろが長くなってしまう。 まずこの乱れをしっかり聴き取る、気づくことです。

指がまだできていないから、

8分音符に慣れていないから、

練習が足りないから…

もちろんそれもあるかもしれません。

ではどう練習しましょうか?

コツは耳です。

耳を使って、よくよく、自分の音を聴くのです。

指だけを勝手に走らせないことです。

たびたびお話していることですが、

ピアノは指だけで弾くのではなく、

耳で弾くこと、

これが一番大切なことです。

声に出して読んだら転ばないのは

自分の出している声を

耳がしっかりチェックしてくれているからです。

でもピアノを弾くときは

どうしても指を動かすことばかり、

音符を目で追うことばかりに一生懸命になって、

耳の方はずいぶんぼんやりしてしまっているのです。

だから耳をすまして、

しっかり自分の指先から出る音を

自分の声のように聴きとりましょう。

ちょうど虫眼鏡でみるように

音の一粒一粒をじっと聴いてごらんなさい。

あなたの指は馬です。

ただ乗ってしがみついてるだけでは

音楽の庭を好き勝手に走り回って

踏み荒らしてしまいますよ。

しっかり手綱をかけて、従わせなくてはなりません。

その手綱が耳なのです。

耳でコントロールして

正しく、美しく走らせるのです。

練習の時、

指に任せてだらだらと繰り返していても

何の効果もありません。

自分の音をよく聴いて、

初めて矯正できます。

指が勝手に走りそうになったら、

耳でぐい!と手綱をひいてひきとめましょう。

この耳を使う練習は

できるだけ早くから習慣にしましょう。

そうすればあなたの演奏は正確さと

音色の美しさを両立させることができます。

また、その耳から自然に一番美しい音、

旋律の運び方が聞こえてくるようになります。

いつも言うこと、それがあなたの演奏、あなたの心の歌なのです。

弾きたい音楽は、自分の耳の奥にある…

根気よく、たどり着いてくださいね。

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